今回はこちらの本になります。
お金に関する本は無限と言えるくらい沢山ありますが私が特に印象に残っていて
お金に関する基礎とわかりやすい考え方、今とこれからの時代に関してのお金のあり方、価値、意味などがすごく理解しやすく、今をリアルに感じられるのでおすすめです。
著者は10代の頃から独自にビジネスに取り組み始め、仮想通貨に関連する事業に携わっています。
「自分の人生に影響を与え続けてきた「お金」の正体を掴み、今よりも良い社会の仕組みを自分の手で実現しよう」
「お金や経済はまだまだ進化の途中であり、人間は今とはもっと違う存在を目指せる」
私の印象はシンプルに色々な才能に恵まれていてすごく天才肌な気がします。
羨ましい限りの文章のスマートさ、感じ取れる冷静で俯瞰的な目線、説得力。
読みながら何度心の中で、なるほど!だからか!そうすればいいんだ!と頷いたかわかりません。
下記目次になりますが、私が特に強く印象に残った項目について書評を書いていきます。
目次
第1章
お金の正体
3つのベクトルが未来の方向性を決める
著者が経営を通して一番学んだのは世の中がどうやって動いているかの「力学」に関してで、特に成果を出している人は意識的にせよ、無意識的にせよ共通したそのバランス感覚がある。
「現実はおおよそ3つの異なるベクトルが併存し相互に影響を及ぼしており、それらが未来の方向性も決めている」
そのベクトルが「お金」「感情」「テクノロジー」だそうです。
・お金はもっともベクトルが太く影響が強い!生活に直結している!経済圏はほぼ全ての人類に影響があるので弱肉強食の世界でお金を持っている力は絶大です。
・感情はお金ほど強力ではないが、ここを無視しているとどんなにお金を稼ぐ事業も長くは続かないし、ある程度のコミュニティを作る上で価値観があることは大切です。
・テクノロジーはほとんどの人が意識しない領域だが、人類の発展、動きには直結することが多く、この領域が今後影響力を益々強めることは間違いないと思われます。
個人的にお金と感情は嫌というほど散々体験したので共感しまくりました。
いよいよ、今年からテクノロジーの分野に時間とエネルギーを沢山使っています。
急激に変わるお金と経済のあり方
お金とは何か?
お金が社会の中心に位置付けられた資本主義
資本主義と社会主義というのがよく比較されますね。
資本主義というのはその名の通り資本をもっている人が強く、企業間、個人間でも競争原理が働き努力をするとその見返りとして報酬を沢山もらえる。自由主義、民主主義といった言葉がよく聞かれ、現在の世界の中心的な考え方になります。
社会主義は国が手動で誰でも平等に平和に豊かに暮らすという側面が強いかと思います。ただ、国や軍隊、地域の影響力が強く独裁国家のようになりやすい面があったり、みんなが努力をしなくても生きていけるような感覚になるので経済が衰退しやすいです。
冷戦時代のソ連とアメリカは社会主義VS資本主義という構造でアメリカが勝利して資本主義がやはりいいじゃないかという風潮になりがちですが必ずしもそうではなく、
資本主義の限界が見え始めた点を後に触れています。
とはいえ、今後まだまだ資本主義、持つもの持たざる者の差は激しくなると思われるので
今を生きている私たちはこの時代と上手に付き合いながら自分のワクワクする人生を歩むにはどうしたらいいかを考えるのが面白いし大切かと思います。
中央銀行の仕組み
この本では今でこそ通貨は国家が管理していますがそれが将来的にも機能するのか、正しいのかなどの論点にも触れています。
仮想通貨は鏡の世界?
仮想通貨は全く知識がなかったので本当にここで勉強できた量は多すぎます。
シンプルにただのドル、ユーロ、日本円のように通貨としての要素しかイメージがなかったので、今は投機目的で買っておけば後々流通量が増えて値上がりするかもしれないという若干の博打感覚でした。
ただ、テクノロジーと将来の経済圏の側面で考えるとただの「通貨」としてだけではないあらゆる可能性を感じることができます。
現時点での私の見解はビットコインやLNのようなさまざまな通貨がどうなるかはわからないが、おそらく、約100年、200年で今の中央銀行のシステムができたのだから、
100年後以降は基軸通貨、目に見えるお札や金属のコインはなくなり、全て電子になる。稼ぐ使うという概念も大きく変わる。
根本的な技術のブロックチェーンに関しては理解を深めて、能力のある人は技術的に使いこなせる人が先程のテクノロジー領域を理解する上ですごく大切になるのではないかというところです。
膨大なデータから見えてきた「経済システム」の構造
経済とは「欲望のネットワーク」
人の手で経済は創れるか?
発展する「経済システム」の5つの要素
組織論にも近いように感じますが発展、継続しやすいポイントです。
・インセンティブ
報酬や結果が誰が見ても明らか。
高校野球をやっていた経験から春の甲子園より夏の甲子園が盛り上がるのは
その結果が明確だから!夏は予選を最後まで勝ち抜いた人が参加、春は選考委員会で選ばれた人が参加。
・リアルタイム
状況が常に変化すると活力が生まれやすい。次に何が起こるかわからないような状態。
逆に長い時間同じで変化がないと活力が生まれにくい。
・不確実性
リアルタイムに努力と運が折り混ざった多少のストレスがあった方が活力がでる。
・ヒエラルキー
役割や階級が明確だと活力、モチベーションが上がりやすいが、反面既得権益を守ろうとする事象がうまれると発展しづらくなる
・コミュニケーション
人間が生きていく上で本能的にも必要不可欠な要素。
最初にあった感情やコミュニティにも直結します。
経済に持続性をもたらす2つの要素
①寿命は必ずくるのでその前提でつくる。
②共同幻想
ビットコインに感じた「報酬設計」の秀逸さ
この記事を書く前に「えんとつ町のプペル」という映画を見たのでなんというタイミングという感じでした。
この映画では主な舞台のえんとつ町の開拓者が住んでいた街のお金の仕組みを時間とともに価値が減るお金に変えてうまくまわったけど最終的に美味くいかないで争って脱出してきたというくだりがあり。ドイツ人経済学者のシルビオ・ゲゼルとう人が提唱したお金のあるべき姿を伝えています。ピケティも資産に税金をかけるべきという思想に似ています。
ブロックチェーンの技術が取り沙汰されがちだが、ビットコインの発案者は「理想主義者」ではなく、あくまで動くものを作りたい「現実主義者」だと感じたそうです。
経済・テクノロジー・思想とそれぞれが、それぞれの役割を与えられた上で、うまく報酬の設計がなされています。
「経済システム」の活用
持続的に成長する組織の条件
先程の5つの要素を具体例をもって示してくれています。
勝手に拡大するサービスを作るには?
先程の五つを満たすにはSNSはすべてを参考にするとよいとのこと。
フォロワー数、視聴者数、いいねなどは実際にお金の動きはなくても人々の中にある色々な欲望を見事に吸い上げて満たしているので非常に経営者向きの話です。
「小米」に学ぶ経済圏の作り方
「シャオミ」と読みます。創業者はアップル創業者のスティーブ・ジョブズに影響を受けていて携帯端末などのハード面でデザインや生産量をコントロールして希少性を売りに人気を
経済と脳の深い関係
進化する、脳が欲する「報酬」の種類
脳は飽きやすいー変化と不確実性
快感は他人との比較によって高まる
ゲームとは報酬回路を人口的に刺激する「優れた装置」
快楽物質は強力すぎる諸刃の剣
経済と脳の関係について面白い指摘をしています。
著者は長い間経済がどうしてこういった仕組みで成り立っているのかが深いところで理解しきれていなかったが、結局は脳をもっている人間が作ったものだということに気づきます。
脳みその仕組みがそのまま経済に連動しているという気づきが衝撃だったらしく、
脳の基本的な仕組みや快楽を感じる欲(報酬欲、食欲、睡眠欲、性欲、承認欲求など)と先程の5つの項目を結びつける重要性を指摘しています。
また、中毒性があることにも触れていて、ハマりすぎて心身を壊さないようなバランスも大切ですと。
脳は疲れなくても心と体は必ず負荷がかかるので休ませることも必要だとのこと。
確かにそう思います。特に意外と心のダメージの回復は目に見えづらいんですよね。他人からもわかりづらいです。
「自然」は経済の大先輩
経済と自然の根底にある同一システム
企業経営を通して学んだ「ビジョン」の重要性
有機的なシステムとしての経済
マトリョーシカ人形のような入れ子の構造
自然の秩序に反したルールの危険性
ダ・ヴィンチには見えていた”ひとつの世界”
このあたりはわかりやすいところからすごく知的な能力が試される印象でした。
自然や宇宙といった人間の意思が存在しない世界でここまでバランスよく成り立っているのも先に述べられている5つの要素とリンクするイメージです。
経営的な視線では100人を超えてくるような組織になってくると全体的で共有できる目的、理念、思想が大変大事になってくる。人や時代や世の中が変わってもここを守り続ければ生存し続けることができる。
人間や生き物の細胞から肉体、社会、自然界など規模が大きくなっても同じ体系であると著者は指摘しています。
自然界のような新陳代謝がアメリカでは特に移民の受け入れ、企業の発足、廃業が多く世界でI番の経済大国になりました。
日本は大企業や国家を代表に新陳代謝がなくなったので自然界のような発展がなくなった状態に近いのですが、人類数千年の歴史から今は色々な試行錯誤をしている最中で今後はもっとよくなっていくというイメージも共感できました。
これまで、人間は目に見えるものしかイメージできないところから、これからの時代はテクノロジーによって人間の脳は認知能力が向上し、あらゆる情報や物のネットワークを整理してもっと色々なものが見える脳みそが出来上がるそうです。すごい、、、
創発的思考が大切になる。ということですがこのあたりは結構難しく、著者も自分の考えや感じているものを文字にするのが苦労したのが伺えます。
レオナルドダビンチや歴史上の天才数学者がおそらく専門分野は違えど、この自然界の法則の共通の部分を感じ取っていて、当時の人も、現代の人でも理解しきれない部分もあるようです。
ただし、現在はさまざまなところでテクノロジーの進化が凄まじいのでメリットは多く、体験、体感できることは今後ますます増えてワクワクする印象でした。
第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ
テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える
今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」
分散化する社会とシェアリングエコノミー
中国がリードするシェアの世界
完全に分散した経済システム:ビットコイン
「自律分散」という次世代の成功モデル
AIとブロックチェーンによる無人ヘッジファンド
中国の無人コンビニ
テクノロジーによって経済は「作る」対象に変わった
この章は著者が仮想通貨の専門家ということで、初心者にもわかりやすく世界的な視野で解説してくれています。
通貨を国家が主導で責任をもって発行、利益を得ていたものが今後は通貨発行が分散化していく流れと指摘しています。
情報がオープンに知れ渡るようになり、「知識」にそれほど価値がなくなった今、各情報の調整や活用や編集がものをいうようになりました。
これまでは中央集権国家、情報を纏める商社、仲介などのブローカーのメリットがなくなりいくつもの集団が分散するようになります。ここは肌でも私個人的にもそうなるだろうと感じます。
シェアリングエコノミーもどんどん広がり民泊サイト大手のAirbnbの世界全体の売り上げはヒルトングループに匹敵するレベルにまでなっているそうです。
様々なリソースが有効活用されて来ている中で、先進国は既存のルールとの摩擦が起きやすく浸透に時間がかかりがちですが、中国はもともとの既存のルールがないのでこのシェアリングエコノミーの浸透は10年ほどで飛躍的に伸びたそうです。
ビットコインの通貨の発行の主導権を中国の一部の層が独占しようとしたところ、あらゆる世界の監視の目が阻止しようと、別の経済圏をつくったりできる非常によくできた仕組みだということを指摘しています。
前述した自然の流れに近い形を取り始めているような部分もあるようです。
AIとブロックチェーンによるヘッジファンドも様々な投資家からお金を集めており、中国も信用度がデジタルでチェックできるため、無人コンビニで悪いことをする方が割りに合わない仕組みになっていたりと、テクノロジーが進歩することで経済圏を自分で作る時代になっていると指摘しています。
まさに、自分も取り組んでいる流れにそっているので間違いなかった!という印象です。
NumeraiとうAIによる投資ファンドはこれからも注目していきます。
第3章 価値主義とは何か?
限界を露呈し始めた資本主義
資産経済の肥大化と金余り現象
お金にはなりにくい「価値」の存在
社員の満足度を投資判断の材料にするファンド
資産としては認識されないデータの「価値」
資本主義から「価値主義」へ
「価値」の3分類
①有用性としての価値
②内面性としての価値
③社会的な価値
資本主義の問題点をカバーする「価値主義」
「共感」や「感謝」などの内面的な「価値」の可視化と流通
「評価経済」の落とし穴
社会的な価値・ソーシャルキャピタルの可視化
営利と非営利の境界線が消える
経済と政治の境界も消える
ベーシックインカム普及後の、「お金」
「経済」は選べばいい
複数の経済圏に生きる安心感
「時間」を通貨とする経済システムの実験
タイムバンクとVALUの正体
デジタルネイティブからトークンネイティブへ
「価値主義」とは経済の民主化である
この章は最近よの中でも良く言われるようになった価値や価値観の変化について多く触れています。
資本主義が主流になっていたとろこにリーマンショックが発生し資本主義の限界が露呈し始めました。実体経済と資産経済が隔離をしていて、本来のお金の目的ではなく、お金でお金を増やすという活動が生まれ、資産経済上でお金の投資先が枯渇している金余り状態が発生しているそうです。
ここで、いよいよ資本主義から価値主義への転換期の様相を呈してきたわけですが、「価値」や「データ」などの重要度と今後の価値の増大についてこれでもかというくらい興味深い指摘が多いです。
現状の古い判断基準では企業の価値は決算書などにでてくる数字を見て金融業界、コンサル業界の人は見るのですが、その数字の根拠は今の価値とはかけ離れており、GAFAなどの企業が扱っている「個人情報に始まる膨大なデータ」はその数字以上に価値があるので時価総額がすごいことになっています。
SNSなどの影響力がある人は、お金を持っていなかったとしても「価値」をすぐにお金に変えたり、欲しいものに変えたりすることができる。
広ければよいというよりは良い人間関係、人脈がまさにそういった点ですよね。
企業を評価する根拠も「社員の満足度」などであったりします。
色々な経済圏で生きる選択肢がこれからもさらに増えるので、一つのところで心身を病んでまで依存する必要がない世界が広がると思われます。
他は、ベーシックインカムや著者が実際に取り扱ったタイムバンクやVALUといったサービスの説明なども根拠となっています。
第4章 「お金」から解放される生き方
人生の意義を持つことが「価値」になった時代
若者よ、内面的な「価値」に着目せよ
「儲かること」から「情熱を傾けられること」へ
人間の心は放っておくとすぐサビる
「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く
枠組みの中での競争から「枠組み自体を作る競争」へ
この章は「価値」について詳しく書かれています。非常にここ10年大切にしてきたところなので共感できるものが多いです。
私たちのようなミレニアム世代は、生物学的に生きるということはほぼ完全に満たされる世の中で生まれ育ってきたので情熱や本気(著者は1日中やっていても飽きないことと例えています)で取り組めるものをやること、そしてその価値観が合うような人たちと波紋のようにエネルギーと繋がりが広がるとさらに関わっている人、世の中にもいい影響がでるというものです。
中国ではSNSのフォロワーが500万人、年収50億円以上という人もいる時代です。個人でです。
「お金を稼ごう」という概念だけでは逆に儲かりにくくなってきています。
この章で一番ポイントと思ったのは「人間の心は放っておくとすぐサビる」という項目です。
自分が子供の頃のように朝から晩まで夢中になれるものに取り組まずに義務感や惰性で長い間過ごしていると、気づくと自分が夢中になるものを忘れてただ時間だけを過ごす状態。著者はこう表現していますが、私もまずい状態だと思います。
ここで大事なのはとにかく自分の心のむくままに沢山の情報をとること。他人に教えてもらったり、勧めてもらうことも時には大事ですが、自分の情熱は自分にしかわかりません。
資本主義という枠組みの中で競争する時代から、枠組みをつくる競争にシフトしている。間違いないと思います。
価値観の合う仲間とさらに強い強固な枠組みを作っていきたいですね。
第5章お金にならなかったテクノロジーに膨大なお金が流れ込む
電子国家の誕生:エストニア
宗教と価値主義
「現実」も選ぶ時代へ
人類の経済圏は大気圏を突破する
「お金」は単なる「道具」である
まさに集大成とも言える章ですがこれまで儲からないという理由でお金が流れてこなかったテクノロジーに大量なお金が流れ込んでいます。まさに今周りを見ていてみ優秀なエンジニアが稼いでいる金額が桁が違う場合が多いです。
シンガポールが人口も国土も規模が小さいにもかかわらず資本主義の流れにうまくのって先進国になったように、エストニアという国もテクノロジーの流れにのって国家運営に取り組んでいる具定例などがあります。
内面的、精神的な価値の重要性を何度も指摘してきましたが、宗教が古くからこの精神的な価値に重きを置いている点と元Googleの社員がAIやテクノロジーを崇拝する宗教団体を立ち上げた点を例にとり、株式会社という形態も捉え方や解釈によっては共通点が多いという興味深い指摘をしています。なるほどでした。
今後、人々から労働や様々な縛りから解放され膨大な時間が確保されることを前提にするとその時間で何をしたいかということがすごく大事になってきます。
間違いなくVRなどの仮想現実はゲームやSFだけでなく現実世界にも沢山登場すると思うので自分の心が素直に夢中になれることに人生で一番大切な時間を使っていきたいですね。
そんな方にぜひおすすめです。