今回ご紹介するのはこちら。「海賊と呼ばれた男」です。
「永遠の0」などで有名な百田尚樹さんの著書で岡田准一さんが両方での主演を務めています。
著者の百田尚樹さんの作品は個人的にはとても好きで日本人の誇りのようなものを感じさせてくれる方ですが、様々なメディアなどで発信されている中でその強い考え方や表現の仕方から意見が結構分かれる方です。
本は上下巻の2冊になっていて内容が濃すぎて面白すぎて一瞬で読んでしまったのですが映画にするには内容が濃すぎるだろうと思っていたら案の定、映画は面白かったですが濃厚さと面白さは本には勝てないよなと言う感じでした。
それでも映画もなかなかOKを出さない百田尚樹さんがOKを出すほどの監督やキャストで豪華でした。
本のモデルとなったのはガソリンスタンドでよく見る出光興産で石油の卸売会社をしていた「出光佐三」。
福岡の小さな油の元売り会社をしていたところから様々な困難を乗り越えて日本を代表する世界的な企業へ成長させるという伝記です。
この本を読むまで全く知らなかった出光佐三という人物についてですが読めば読むほど自分の人生で感じていた悩みやネガティブな出来事がどれだけ小さいことかということを痛感しました。
また、第2次世界大戦に日本が突入する要因の一つでもあり、世界経済の成長の最も重要な部分でもある「石油」という時代背景も面白さをさらに掻き立てます。
戦争に関する感動を覚える本や映画はどうしても美化されすぎていて負の部分が忘れられているという意見もありますがそれは否定できないと思います。
確かに第2次世界大戦については様々な要因がある中でどうしても日本の好戦的な勢力が強すぎて戻れなくなった側面が強く、外交がうまくいかず、いつでも侵略される弱国になるか戦争するかの2択になるまで追い込まれてしまったこともありこういった話自体ない方が良かったという意見は理解に値します。
しかし、事実は事実として正解、不正解の両極端で考えることなくしっかりした勉強、歴史認識を生かして誰もが幸せになる生活を送れるような世界を作るのが大切と思います。
映画ではそうでもないですが本では比較的、愛国心と社員に対する愛情が強くそのためならばどんな犠牲も厭わないという場面が沢山出てきます。
96歳まで生きた経営者の方なので長い人生沢山の苦難を乗り越えてますがそれが一冊(実際には上下二巻)の本に纏まるのでもうどれだけ次から次へと自分の責任ではない筈なのに災難が降りかかってくるのかと衝撃の連続です。
実際にYoutubeなどで当時の動画やコメントを見ていると非常に華奢な身体の中にとてつもない厚みと硬さのある精神力、信念を感じます。あの時代だから成功した人という印象です。
日本人という民族に絶対的な信頼を置いていて、定年などは設けず会社の社員はサボらないという前提で会社を運営しているのがすごく印象的でした。
当然、史実に基づくストーリーと言いながらエンターテイメントの側面が強いので賛否はあるかと思いますが客観的に見ても主人公の成し遂げたことは日本人の民度と誇りを再認識させてくれます。
どんなに巨大で何をしても勝てないと思われる相手に対しても同義的に正しいと思ったら絶対にやり抜く男ぎがめちゃくちゃカッコいいです。
創業期に破産寸前で会社に投資してくれた大恩人(史実では亡くなった時に社葬扱い)の話、初婚の素晴らしい女性との関係やその最後の話、全てを一緒に作ってきた仲間の衝撃的な最後、命懸けで社長の命令に従い石油を運ぶ船員達の話など理不尽だったり不運だったりを全て乗り越えて行く姿は日本人なら是非知っておいて損はないと思います。