近年、テレワークやホームエンターテイメントの普及により、イヤホンの使用時間が大幅に増加しています。しかし、長時間の使用は耳の疲労や痛みを引き起こし、最悪の場合、外耳炎や難聴のリスクさえあります。そんな中で注目を集めているのが「骨伝導イヤホン」です。
骨伝導イヤホンは、耳を塞がずに音楽を楽しめる革新的なデバイスです。周囲の音を聞きながら、音楽やポッドキャストを楽しむことができるため、安全性と快適性を両立させた製品として人気を集めています。
本記事では、骨伝導イヤホンの基本的な仕組みから、選び方のポイント、そして最新のおすすめモデルまで、詳しく解説します。イヤホン・ヘッドホン専門店のスタッフによる厳選情報をお届けしますので、あなたにぴったりの骨伝導イヤホンが見つかるはずです。
1. 骨伝導の仕組みとは？
骨伝導技術の基本原理
骨伝導とは、文字通り「骨」を通して音を伝える技術です。通常のイヤホンでは、空気を振動させて音波を耳に届けますが、骨伝導イヤホンは頭蓋骨に直接振動を伝えることで、内耳に音を届けます。
この方式では、耳の外部や中耳を介さずに直接内耳に音を伝えるため、耳を塞ぐ必要がありません。そのため、周囲の音を聞きながら音楽を楽しむことができるのです。
骨伝導イヤホンの特徴
- 周囲の音が聞こえやすい：
骨伝導イヤホンは主にこめかみ部分に装着するため、環境音を遮断せずに音楽を楽しめます。これは、ランニングや自転車走行など、周囲の状況把握が重要な場面で特に有用です。 - 耳への負担が少ない：
耳を塞がないため、長時間使用しても耳が痛くなりにくく、蒸れの心配もありません。 - 音漏れに注意が必要：
骨伝導の性質上、完全に音を閉じ込めることはできません。周囲に「シャカシャカ」という音が漏れる可能性があるため、図書館や静かなオフィスでの使用には適していません。 - 装着方法：
一般的に、こめかみ付近に装着します。耳を塞がないため、メガネとの併用も可能です。
2. 骨伝導イヤホンの選び方
適切な骨伝導イヤホンを選ぶためには、以下のポイントに注目しましょう。
1. 有線か無線か
有線タイプ
- メリット：バッテリー切れの心配がない
- デメリット：ケーブルが邪魔になることがある、断線のリスクがある
無線（Bluetooth）タイプ
- メリット：ケーブルがなく動きやすい
- デメリット：バッテリー切れに注意が必要、音声と映像にわずかな遅延が生じることがある
2. フィット感と装着感
骨伝導イヤホンは、頭のサイズや形状によってフィット感が異なります。可能であれば、購入前に試着することをおすすめします。特に、メガネを使用している方は、イヤホンとの干渉がないか確認しましょう。
3. 音質
骨伝導イヤホンの音質は機種によって大きく異なります。一般的に、中高音域が強調される傾向がありますが、最近のモデルでは低音の再現性も向上しています。用途に合わせて選びましょう。
4. 防水性能
スポーツ用途で使用する場合は、防水性能が重要です。IPX4以上の防水性能があれば、汗や雨に強く、安心して使用できます。
5. バッテリー持続時間
ワイヤレスタイプを選ぶ場合は、バッテリーの持続時間をチェックしましょう。使用頻度や1回あたりの使用時間に応じて、適切な持続時間のモデルを選びます。
6. 付加機能
- マルチポイント接続：複数のデバイスと同時に接続できる機能
- アプリ連携：専用アプリでイコライザー設定や機能カスタマイズが可能
- ノイズキャンセリング機能：一部のモデルでは、マイクのノイズキャンセリング機能が搭載されています
3. おすすめの骨伝導ワイヤレスイヤホン
ここでは、2024年7月時点での最新おすすめモデルをご紹介します。
1. audio-technica「ATH-CC500BT」
オーディオテクニカが世界で初めて民生用に開発した軟骨伝導ヘッドホンです。
特徴：
- 軟骨（耳珠）に優しく当てるだけで音が伝わる
- クリアで聴き疲れしにくい中高音重視のサウンド
- マルチポイント対応で2台のデバイスと同時接続可能
音質評価：
中高音がクリアで、独特のステレオ感を楽しめます。低音は控えめですが、全体的にバランスの取れた音質です。
2. AVIOT「Openpiece Playful」
カラフルでスタイリッシュなデザインと高機能を両立した骨伝導イヤホンです。
特徴：
- 「高音質モード」と「音漏れ抑制モード」の2つのモードを搭載
- 最大12時間の連続使用が可能
- IP67の高い防水防塵性能
音質評価：
高音質モードではパワフルな音を、音漏れ抑制モードでは周囲への配慮を両立。状況に応じて使い分けられる柔軟性が魅力です。
3. Shokz「OpenComm2」
コミュニケーションに特化した骨伝導ヘッドセットです。
特徴：
- マルチポイント対応で複数デバイスとの接続が可能
- 高性能ノイズキャンセリングマイク搭載
- 最大8時間の連続通話が可能
音質評価：
通話品質に重点を置いたモデルで、クリアな音声伝達が可能です。音楽再生時も、中高音域がしっかりと表現されます。
4. Shokz「OpenRun Pro」
Shokzのフラッグシップモデルで、音質と装着感を極めた製品です。
特徴：
- 低音強化と10時間の連続再生を実現
- 急速充電対応（5分の充電で1.5時間使用可能）
- 装着安定性が向上
音質評価：
骨伝導イヤホンの中でも特に優れた音質を誇り、低音の再現性が大幅に向上しています。全体的にバランスの取れたサウンドが楽しめます。
5. Shokz「OpenRun」
OpenRun Proの前身モデルで、コストパフォーマンスに優れた製品です。
特徴：
- IP67の高い防水防塵性能
- 急速充電機能搭載
- 軽量で快適な装着感
音質評価：
中音域が特に優れており、人の声が聞き取りやすいのが特徴です。オンラインミーティングやポッドキャストの視聴に適しています。
4. おすすめの骨伝導有線イヤホン
有線タイプの骨伝導イヤホンは選択肢が限られますが、バッテリー切れの心配がない点が魅力です。
FSC「骨伝導ながらホン」
コストパフォーマンスに優れた有線タイプの骨伝導イヤホンです。
特徴：
- 2mの延長ケーブル付属で様々なデバイスに対応
- リモコン部分にアンプ機能付きの充電池を搭載
- 手頃な価格帯
音質評価：
アンプ機能により、骨伝導効果が高められています。中高音域が強調されたクリアなサウンドが特徴です。
5. 番外編：耳を塞がないイヤホン
骨伝導ではありませんが、耳を塞がずに音楽を楽しめる革新的なイヤホンをいくつかご紹介します。
1. Bose「Ultra Open Earbuds」
耳にかけるタイプのオープンイヤーイヤホンです。
特徴：
- 軽量で快適な装着感
- BOSEらしい力強く響きのよいサウンド
- 耳を塞がないデザイン
音質評価：
オープンイヤータイプながら、低音の逃げが少なく、スピーカーで聴いているような臨場感のあるサウンドが楽しめます。
2. HUAWEI「FreeClip」
独特のC字型デザインが特徴的なオープンイヤーイヤホンです。
特徴：
- 形状記憶合金を使用した安定した装着感
- メガネとの干渉が少ない設計
- 軽量で長時間使用可能
音質評価：
低音から高音まで、バランスの取れた音質が特徴です。特に音の明瞭度が高く、クリアなサウンドが楽しめます。
3. SONY「LinkBuds【WF-L900】」
中央に穴の開いたユニークな形状の完全ワイヤレスイヤホンです。
特徴：
- ドーナツ型のデザインで周囲の音を遮断しない
- 幅広い周波数帯域をカバーする音質
- 耳の周りをタップして操作可能な「ワイドエリアタップ」機能
音質評価：
ながら聴きイヤホンとしては珍しく、低音域もしっかりと再現。幅広いジャンルの音楽を楽しめます。
6. まとめ
骨伝導イヤホンは、耳の健康を維持しながら音楽を楽しめる画期的なデバイスです。周囲の音を聞きながら使用できるため、ランニングやサイクリングなどのアウトドア活動、オフィスでの使用など、幅広いシーンで活躍します。
選び方のポイントとしては、使用目的（スポーツ用、通話用、音楽鑑賞用など）、有線・無線の選択、装着感、音質、防水性能などが挙げられます。また、バッテリー持続時間やマルチポイント接続などの付加機能も、自分のニーズに合わせて検討しましょう。
2024年7月現在、audio-technicaの「ATH-CC500BT」やShokzの「OpenRun Pro」など、高性能で使いやすい製品が多数登場しています。また、BOSEやSONYなど、大手音響メーカーからも耳を塞がないタイプのイヤホンが発
売されており、選択肢が豊富になっています。
骨伝導イヤホンは、従来のイヤホンとは異なる音の伝わり方をするため、最初は少し違和感を感じる方もいるかもしれません。しかし、使用に慣れてくると、その快適さと便利さに魅了される人が多いのも事実です。
特に、以下のような方におすすめです：
- 長時間イヤホンを使用する必要がある方
- スポーツや運動中に音楽を聴きたい方
- 仕事中やテレワーク時に周囲の音を聞きながら音楽や通話を楽しみたい方
- 耳の健康に気を使いたい方
ただし、骨伝導イヤホンにも以下のような注意点があります：
- 音漏れがある程度発生するため、静かな環境での使用には適さない場合がある
- 従来のイヤホンに比べて、低音の再現性が若干劣る
- 頭の形状によっては、フィット感が得られにくい場合がある
これらのデメリットを理解した上で、自分のライフスタイルに合った製品を選ぶことが重要です。
最後に、技術の進歩により、骨伝導イヤホンの性能は年々向上しています。音質の改善、バッテリー持続時間の延長、さらなる軽量化など、今後もさまざまな進化が期待できます。定期的に最新情報をチェックし、自分に合った最適な製品を見つけることをおすすめします。
骨伝導イヤホンは、音楽の楽しみ方に新たな選択肢を提供する革新的なデバイスです。この記事を参考に、あなたにぴったりの骨伝導イヤホンを見つけ、新しい音楽体験を楽しんでください。
補足：骨伝導イヤホンのお手入れと注意点
骨伝導イヤホンを長く快適に使用するために、以下のお手入れと注意点を心がけましょう。
- 定期的な清掃： 汗や皮脂が付着しやすいため、使用後は乾いた柔らかい布で拭き取りましょう。防水性能が高いモデルであれば、軽く湿らせた布で拭くこともできます。
- 適切な保管： 使用しないときは、付属のケースに入れて保管しましょう。直射日光や高温多湿の場所は避けてください。
- 充電の管理： ワイヤレスタイプの場合、バッテリーの劣化を防ぐため、完全に放電する前に充電することをおすすめします。また、長期間使用しない場合は、半年に一度程度充電しましょう。
- 音量設定に注意： 骨伝導イヤホンは耳を塞がないため、周囲の騒音に負けじと音量を上げがちです。しかし、過度な音量は内耳にダメージを与える可能性があるので、適切な音量で使用しましょう。
- 使用環境の配慮： 音漏れがあるため、図書館や静かなオフィスなど、周囲に迷惑がかかる可能性がある場所での使用は控えましょう。
- 装着位置の調整： 音質や快適さは装着位置に大きく影響されます。最適な位置を見つけるまで、少しずつ調整してみてください。
- 他の機器との干渉： ワイヤレスタイプの場合、他のBluetooth機器と干渉する可能性があります。問題が発生した場合は、周囲の機器との距離を置くなどの対策を試してみてください。
骨伝導イヤホンは、従来のイヤホンとは異なる特性を持つユニークな製品です。その特性を理解し、適切に使用することで、長く快適に音楽を楽しむことができるでしょう。新しい音楽体験の扉を開く骨伝導イヤホンの世界を、存分にお楽しみください。
