生成AIの導入が企業にもたらす5つの主要メリット
近年、生成AIの技術が飛躍的に進歩し、さまざまな業界で導入が進んでいます。生成AIとは、自然言語によるテキストや画像、音声などのコンテンツを人工知能が生成するシステムです。企業においても生成AIの活用は、生産性の向上やコスト削減、新規事業の創出など、多くのメリットが期待されています。
私自身、運よくここ２年程は生成AIを業務へ実装する仕事に取り組んでいて様々な課題や効果を実感してきました。
特に最近、生成AIを活用する事例は多く出てきていますが、実際の現場と管理職以上の方々の感覚や認識ののズレや矛盾を解決しないまま進んでしまうことも多く実感したのでその辺りも解説していきます。
本記事では、生成AIの導入が企業にもたらす5つの主要メリットと矛盾やギャップの解決について解説します。特に経営者目線と現場目線で微妙に異なる感覚を大事にしながら経営者の皆さまや実際に生成AIを現場で活用する方々の課題解決の一助となれば幸いです。
業務効率（生産性）の大幅な改善と現場の人が感じる不安
生成AIの導入により、企業は業務効率を大幅に改善できます。AIによる自動化で定型作業から解放され、従業員は創造的で付加価値の高い業務に専念できるようになります。従来のAIではこの創造的な部分はできませんでしたが、生成AIが発達することにより一気に潮目が変わってきました。
具体的には、データ入力や書類作成などの単純作業をAIに任せることができます。AIに指示を出せば、瞬時にデータを取り込み、所定の書式に従って書類を自動生成してくれます。人手に比べて格段に正確かつ迅速に業務を遂行できる点が大きなメリットです。
加えて、AIはヒューマンエラーを最小限に抑えられます。人為的なミスに起因する手戻りのロスが減り、業務品質が大幅に向上するでしょう。
ただ、机上の空論が先行してしまうケースが多く、闇雲にPOCや検証を進めたいという上からの指示に現場のモチベーションが上がらない場面も散見されます。
簡単で重要な矛盾ポイントなのになぜか議論にならない事が多いのが以下の点です。
・現場の社員やスタッフの仕事を無くすための検証を本人たちにさせる
生成AIの導入が初めての経験で、業務内容を把握しているのを差し引いたとしても、現場の方々の心理的反応を予測できない場合です。日々業務を頑張って、忙殺されている社員やスタッフにさらに追加の業務をお願いするにも関わらず、「あなたの仕事を無くすためにもっと頑張って」は客観的に見て仕事のモチベーションが上がるはずがありません。経営者や管理職の方が社員やスタッフの方を経費やコストとしてしか見ていない代表例になります。
・空いたリソースを利用する先の付加価値業務がない
生成AIに限らずRPAやERPを用いたりして、BPRの観点で生産性向上や工数の削減をする場合、必ず現場の方々の次の段階を示す必要があります。折角捻出できたリソースの無駄な使い方として多いのが、既存の業務をより丁寧にやる、全く意味のない業務を対応させるなどです。ここで重要になるのは、生産性を向上させることによる当事者への評価基準を明確に示し、金銭的や立場的なメリットを明確に伝えると同時に、組織全体のミッションや価値観にもしっかり合っている共通認識を持つことです。
コスト削減の実現
生成AIの導入による主要メリットの2つ目が、コスト削減の実現です。人件費の適正化とアウトソースを含めたランニングコストの低減が主な要因となります。
定型業務をAIに任せることで、従業員の作業時間が大幅に削減できます。その分、人件費を抑えられるため、コスト削減につながります。一方でAIシステムの運用コストは、初期投資と費用対効果の課題をクリアできれば単純に人件費に比べてかなり安価に済みます。ここで忘れてはならないのが繰り返しになりますが、採用を抑えるのか、既存のリソースの効果的な活用方法の決断になります。
また、業務効率が向上することで、間接的なコスト削減効果も生まれます。リードタイムの短縮や人的ミスによる手戻りロスの低減など、無駄なコストを最小化できるのです。業務改善で生成AIを活用する場合、個人情報や機密情報の取り扱いとハルシネーションが大きな課題になることが多いです。
生成AIに個人情報と機密情報を入力できないまま活用しようとするとどうしても制限がかかり、効果にも制限がかかります。例えば、生成AIにデータを投入するために、マスキングやエクセルの置換作業をするなどです。最大限効果を傍受するには経営者や決済者が現場の方が目一杯活用できるような環境づくりが非常に大切になってきます。
これまで私が関わってきた実環境はいくつかありますが、生成AIはこれまでのITインフラの概念とは違う点も多いので新しくどういった情報を扱えて、やって良いこと、いけないことを明確に決めたガイドラインを浸透させる事が重要です。正直、あまりにグレーな環境や認識で活用しているケースが多いのが実情だと思います。
選択肢としては大きく下記の三つかと思います。
①オンプレミスで自社構築
Difyなどのツールやオープンソースを利用して完全にローカル環境で外部からのアクセスを遮断した状態で構築することができます。一点気をつけたいのは、自社構築してもどこかでChatGPT,Claud-3,GeminiなどとAPI連携させる場合、入力されたデータはどういった経路でどう処理されるのか確認して、ガイドラインと照らし合わせる必要があります。社内に専門の人材がいれば良いですが、もし、いない場合は外部人材に頼る必要があります。
②Azure,AWS,GCP,国産クラウドサービス環境を利用して構築
最近では機密度の高い情報もクラウド環境で扱うことが普通になってきました。既存のNLPを活用しながら、外部環境で学習に利用されない方法も確立されるようになってきました。ここでもガイドラインとの照らし合わせが重要です。
③汎用ツールアプリケーション,SaaSの利用
まずは、一般の利用者でも無料で使えるChatGPTに代表されるアプリケーションですが、無料プランは基本的に学習に利用されるため企業が業務で利用するには細心の注意が必要です。まず、入力するデータや情報は全世界に発信されても問題ない内容に限られることが前提です。最近は国内外の同様のサービスが乱立するようになってきました。UIや情報の扱いなど現場の意見も聞きながらガイドラインと照らし合わせて導入する事が重要です。
新規事業の芽が見つかる
生成AIは、企業にとって新規事業の芽を見つける好機ともなり得ます。AIは人間とは異なる独自の思考プロセスを持っているため、そこから新しいアイデアが創出される可能性があるからです。
例えば、ブレインストーミングにAIを活用すれば、人間が思いつかないようなユニークなアイデアが次々と生み出される可能性があります。AIは既存の概念にとらわれない自由な発想ができるので、新たな価値創造の手がかりになるでしょう。
加えて、AIを使ったコンテンツやデザイン制作の支援で、企業の創造性が大きく高まることが期待できます。これまでにない斬新な製品やサービスの開発につながり、新規事業の芽が見つかる可能性があるのです。
一般的には上記にあった機密情報を利用せず活用できる場面が多いですが、実際に現場で効果のある活用方法を模索すると、ここにも機密情報を利用できた方が効果が高いことがわかりました。
これからは社会全体で生成AIの活用が必須になる中で、どういう点が重要なポイントになるかというと、各企業が持っている独自の情報やデータと最適な生成AIの活用です。ビジネスにおいては需要と供給の差がそのまま利益に直結するので差別化の観点はますます重要になってくるでしょう。
優秀な人材を惹きつける生成AIの魅力
エンジニア人材の確保が可能に
生成AIを積極的に活用する企業は、エンジニア人材を確保しやすいというメリットがあります。AIに関する技術は今後さらに重要になってくると予想されているため、そうした先端環境は優秀な技術者を強く惹きつけるからです。
創造的な仕事がしたい人材にとっては、生成AIを自在に使える環境は理想的です。最新のAI技術に触れられる機会があり、開発をリードできる可能性もあるためです。
また、生成AIの先駆的な活用は、業界での先駆者というイメージを企業に与えます。こうした先進的な姿勢が、エンジニアなどのAI人材を引きつける大きな要因になり得るのです。
特に育成や教育の面では差が出やすくなるでしょう。国や行政もその点は理解して、支援している動きも多く出てきています。
仕事柄多くの生成AI活用育成企業の紹介を受けるのですが、助成金や補助金の活用には関与しない企業が殆どです。確かに実際に申請するのは導入企業なのですがこのあたりを全てセットで支援しているところを活用すると少ない労力で大きな効果が得られているように感じます。
私がお伺いしてきた中では（株）MY STANDARD社のAIxDXは生成AIの活用をする上で、課題や懸念点をしっかりケアしながら、コストを最小限に抑えて最大限の効果を生み出す実運用現場の説明や助成金申請支援までレベルの高い濃厚な内容が印象的でした。
AI x DX 生成AI活用コンサルティング企業↓
求める教育レベルによっては７０％近くまで補助が出るので活用がおすすめです。
私も代理店活動していますので。ご希望の方はご連絡いただければと思います。
厚生労働省の支援制度↓
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001238174.pdf
革新的な企業文化の構築
生成AIの活用は、革新的で変革に対して前向きな企業文化の構築にもつながります。AIそのものが企業の先進性を体現しているといえるためです。
そうした風土は優秀な人材を確実に惹きつけます。自身のキャリアを積極的に切り開きたい人材には、最新テクノロジーを実践的に学べる場が魅力的に映るからです。生成AIの先駆的な活用は、人材確保の強力な武器になるのです。
加えて、変化を恐れずに果敢にチャレンジする企業姿勢は、持続的なイノベーションにもつながります。優秀な人材が集まれば、新しいアイデアが次々に生まれ、さらなる革新が生み出される好循環が期待できます。
最近では個人事業主として、在籍していた企業の仕事はしつつも、生成AIコンサルを行う方も増えてきました。社会が必要としている、受け入れられるビジョンを共有することが益々重要になってきます。
生成AI導入における経営戦略のポイント
経営層のリーダーシップ
以上が主な５つのメリットです。生成AIを企業に成功裏に導入するためには、経営層の強力な覚悟が不可欠です。経営陣がビジョンを明確に示し、社内に浸透させていく必要があるためです。
まず経営者は、生成AIが企業経営にどのようなインパクトを与えるのかを長期的視点で捉え、ビジョンを策定しなければなりません。その上で、そのビジョンを実現するための具体的なロードマップを示さねばなりません。
そして何より重要なのが、ビジョンと計画を従業員一人一人に徹底させることです。経営層が主導して、AI活用の重要性を社内に浸透させ、理解を求めていく必要があるのです。
段階的な導入計画の重要性
生成AIの本格導入に先立ち、段階的な導入計画を策定することが肝心です。AI技術への理解不足や過剰な期待から、計画がずれてしまうリスクを回避するためです。
まずはPoC(概念実証)の段階から着手し、具体的な活用シーンでAIのパフォーマンスや課題点を洗い出す必要があります。その検証結果を踏まえて、AI導入の是非や規模、方式などを総合的に判断し、段階的な導入計画を具体化していくべきでしょう。
過度な期待や計画の拙速さが、かえって導入の失敗を招きかねません。段階を踏んで、着実に計画を進めることが肝心です。
